県内の地価が公示された。住宅地で10年連続、商業地で19年連続の下落だ。鑑定した不動産鑑定士は「回復する要素はゼロ」と語っている。
私には地価下落よりも古き良き地方都市の面影の衰退ぶりの方が気になる。宮崎市の町並みも年々きれいに整理されていく。しかしそこに人は歩いていないのである。
30年近く前に住んだ時の宮崎市は、も
っと薄汚れ、古ぼけており、乱雑だった。公衆便所は臭く、あちこちに暗闇があった。ニシタチ周辺には細い路地が入り組み、怪しい雰囲気が漂っていた。
町には奥行きと謎があった。夜の迷路に入り込むような危うさに不安と期待を感じた。人の心をとりこにする魅力が繁華街にはあったのである。
一方、行政は「安心安全な町づくり」を目指して古い PR
町並みを整備していった。露天の商店街は消滅して広場になり、路地は区画整理され、広い駐車場になった。町は明るく清潔で平板になり、見通しだけは極めて良くなった。半面、未知へのワクワク感も消えた。
アジア各国の多くの観光地は、日本よりも庶民の生活臭が強いが、私の知る限りシンガポールだけは違う。高層ビルが林立する未来的で人工的なビジ
ネス空間だ。人肌のぬくもりはない。私には息が詰まる場所である。宮崎市の中心部も年々シンガポール化へ向かっているように感じる。
人が年齢とともに成熟していくように、町並みも歴史とともに成熟していく。私たちが新興住宅地に底の浅さを感じる理由は、そこには「現在の時間」しかないからだ。
人々の暮らしの歳月を刻んだ建物が消され、全
国どこでも売られている新品の住宅や建物と入れ替わる。こんな町並みには心が引かれない。
宮崎市の場合、ニシタチ周辺に繁華街が集中しているのがまだしも救いだ。いや、以上の不満は「だれやみ男」の愚痴かもしれないのだが。<宮崎支局長?大島透>
3月21日朝刊
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引用元:フリフオンライン(Flyff) 専門情報サイト
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